ウエストサイド物語

【ウエストサイド物語】~クラシックになった名作ミュージカル~

1940年代後半のアメリカでは、人種間で起こる問題が日々世間を騒がせていました。そんな中、初めて社会的なテーマをストーリーに持ち込んだ作品として誕生。14世紀の名作、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を題材にしたと言われており、当時のアメリカの人種問題など社会的背景を真正面から盛り込みながらも、男女の恋を描き死別で幕を閉じる…という、まさに現代版『ロミオとジュリエット』ともいえる悲劇的なシナリオ。メッセージ性が強く、物語をドラマティックに進行させる斬新な音楽とダンス。20世紀を代表するクラシックの名曲も完成されました。

音楽面ではジャズとクラシックの両方の要素を絶妙に取り入れており、凝縮された傑作ミュージカルの世界観を存分に楽しめる演奏会用組曲となっております。

【シンフォニック・ダンス】

 

プロローグ(Prologue

鼻歌のようなフレーズは主人公が所属する不良グループのテーマ。
ジャズのリズム、フィンガー・スナップ(指ぱっちん)も登場し、少しユーモラスな雰囲気もありつつ、ミュージカル全体に漂うひっそりとして、ちょっと不安な感じの音の動きは、敵対する街の不良グループの緊張関係と悲劇的な結末を暗示しているかのよう。

サムウェア(Somewhere)~どこかへ~

敵対関係にあるギャング団の間で恋に落ちた二人が安息の地への憧れを歌い、切なくも美しく甘美な旋律が絡み合います。

スケルツォ(Scherzo)

先ほどの「サムウェア」=夢の世界を表現した部分ですが、テンポを少し上げ変拍子を多く含み、少年たちが手をとりあって踊る未来を夢に見る場面。

マンボ(Mambo)

ラテンパーカッションのソロに導かれて、二つのギャング団がダンスバトルを繰り広げます。ラテン音楽には欠かせない「キメ」に当たる部分を効果的に曲に取り入れており、そこには「クラーヴェ」と呼ばれるラテン音楽独特のリズムが隠れているなど、思わず「マンボ!」と叫びたくなってしまう秘密がたくさん!!

チャチャ(Cha-Cha)

情熱的なナンバーの多いウエストサイド物語の中で、「チャチャ」は何とも愛すべき可愛らしい音楽です。ダンスパーティ会場で偶然出会って一目惚れした二人がチャチャチャのリズムでステップ軽快にステップを踏むシーン。

出会いの場面(Meeting-Scene)

リズムがなくなると、時間が止まってしまったかのように緩やかに進み、お互いの気持ちを確かめるように会話を重ね、優しくも静謐な響きが寄り添います。

クール(Cool) ~フーガ(Fugue)

押さえきれない興奮とそれを必死に押さえて「クールになろうぜ」という場面が表現されており、ジャズの雰囲気を前面に押し出した音楽。数小節ごとでじわじわと高まっては弾け、高まっては弾けというのが繰り返されます。

ランブル(Rumble)~決闘~

突然の打楽器の強打によって決闘に移り、緊迫感に支配された音楽が展開。

フィナーレ(Finale)

フルートソロのカデンツァを挟み、凶弾に倒れた男と最後の会話を交わす荘厳な音楽。二人が歌った「サムウェア」が再現しかけますが、それも息耐えるように消えていき、一向に盛り上がらず、繰り返される祈りのごとく、影を落としながら静寂の中に消えていくように物語は静かに終わります。